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オルフェウス

『オルフェウス』とは、ギリシャ神話に出てくる吟遊詩人のことです。竪琴の名手で、太陽神アポロンと芸術の女神カリオペの間に生まれ、類まれなる音楽の才と真の詩魂を持った詩人だそうです。

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この『オルフェウス』と命名されたオルゴールがあります。1896年にドイツのラドウィング&ヴィルド社が発表したディスク・オルゴールと、1985年に日本の三協精機で開発された、高級機種のオルゴールです。

サンキョーのオルフェウスは当初50弁のオルゴールのみでしたが、30弁、72弁、100弁のオルフェウスが作られるようになりました。
※ 『弁』とはオルゴールの櫛歯の数を表現しているのですが、30本の櫛歯を持つオルゴールは30弁、または30ノートのオルゴールと呼ばれています。

博物館でも30弁、50弁、100弁のオルフェウスを販売していますが、オンラインショップでも試聴できるように、今回、博物館にある30弁のオルフェウスを録音してみました。

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オンラインショップのメニューの「お店からのお知らせ」→「サンキョーについて」→「30弁曲目リスト」で試聴できます。
大きな声では言えませんが、本家サンキョーのページで公開している合成音とは異なり、生音ですので、どうぞお暇なときにお楽しみ下さいませ。

オンラインショップではガラスケースに入った30弁オルフェウス
を販売しています。機械がよく見えて、お値段が手頃で音も良いです。このガラスケースのモデルはそろそろ廃盤になりそうなので、ご希望の方はお早めに!(「30弁曲目リスト」の在庫の欄の丸印をクリックすると販売のページが開きます。)

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その他のケースもございます。ご希望の方は「Sankyo30弁カタログ」よりケースを、「30弁曲目リスト」より曲を選んで、ご注文ください。

昔話のヒーローがオルゴールに

もうすぐこどもの日。初節句のお祝いに昔話のオルゴールはいかがでしょうか。
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台の中にオルゴールが入っていて、ネジを巻くとそれぞれのお話のメロディーが流れます。

♪まさかり担いで金太郎 熊にまたがりお馬のけいこ はいしどうどう はいどうどう はいしどうどう はいどうどう
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♪桃太郎さん桃太郎さん お腰につけたキビ団子 ひとつ私にくださいな
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♪むかしむかし浦島は 助けたカメに連れられて 竜宮城に来てみれば 絵にもかけない美しさ
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細かな部分まで木を使った丁寧な作りの日本製のオルゴール。贈り物にお勧めです。
オンラインショップのページはこちらをご覧ください。 新しいウィンドウで開きます。

リクエスト曲一覧

4月23日のブログでご紹介した次回企画展のリクエスト曲が決まりましたのでお知らせいたします。
トップページまたはこちら(PDFファイル)、(JPGファイル)からご覧ください。 新しいウィンドウで開きます。

曲目リストには展示・演奏予定のディスク・オルゴール12台についてと、それぞれで演奏できる曲目を掲載しています。企画展ではそれぞれのオルゴールで1曲ずつ演奏しますが、どの機種でリクエストできるかは当日のお楽しみです。

オルゴールのディスクは現在のCDなどのように規格が一律でなかったため、様々なサイズが作られていました。今回の展示では8 1/16inch(約20.5cm)から18 1/2inch(約47cm)までのサイズを使用しますが、10台すべてサイズが異なります。(1inch=2.54cm)

サイズが大きい方が演奏時間が長く、使える音の数も増えるので聴き応えがあります。でも、曲によっては小さなディスクの方がいい場合もあるのです。
例えば、埴生の宿やスコットランドの釣鐘草などのように原曲の演奏時間が短い場合、大きなディスクで演奏すると時間が余るため2~3回繰り返し演奏になってしまいます。シンプルなメロディーでは音の数も少ないため、小さなディスクの方が収まりよく、可愛らしい演奏になります。

今回試聴した中でスタッフに好評だったのが小型のポリフォンStyle42とシンフォニオンStyle48Kです。ディスクの枚数が少なく、あまり知られている曲がないのですが、どの曲もいい感じでした。
 ファイル 225-1.gifポリフォンStyle42とシンフォニオンStyle48K

ディスクの模様や上蓋裏の絵もきれいです。
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いろいろ聴いているとスタッフそれぞれにお気に入りの曲が出来てきます。選曲に困ったらどうぞスタッフにお尋ねください。お勧めの曲をご紹介します。

次回企画展『リクエストできるディスク・オルゴール展』は5月18日(火)より博物館コースにてご覧いただけます。
博物館コースは予約制です。コースの案内をご覧いただき、ご予約の上ご来館ください。 博物館のご紹介へ  新しいウィンドウで開きます。

Musicを更新しました & 5月の曲より 「宝石のワルツ」

5月の演奏会コースで演奏する曲。どれもお薦めなのですが・・・。ポリフォン104で演奏するワルツをご紹介します。

ファイル 224-1.gif ヨハン シュトラウス2世 (Wikipediaより)

ヨハン シュトラウス2世が作曲したオペレッタ「ジプシー男爵」のワルツです。シュトラウス2世は「ワルツ王」と呼ばれ、当時超売れっ子の作曲家でした。ディスク・オルゴールが活躍していた1900年頃と時代を同じくしていたため、ディスク曲でも人気の作曲家です。約3000枚の博物館のディスクの中で95枚もシュトラウス作曲のディスクがあります。(ちなみに2位はヴェルディの70枚、3位はグノーの62枚)

ファイル 224-2.gif 博物館のディスク収納棚

シュトラウスは生涯500曲を超える曲を作り、そのうち書いたオペレッタは16。オペレッタとは喜歌劇のことです。簡単に言ってしまうとオペラの喜劇版?オーケストラの伴奏で、台詞あり、踊りありで、基本的にはハッピーエンドの歌劇です。この「ジプシー男爵」は1885年10月24日、シュトラウスの60歳の誕生日の前日に、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で初演されました。「ジプシー男爵」のなかでも、このワルツは「宝のワルツ」または「宝石のワルツ」と名付けられ、コンサートなどで単独でも演奏される美しいワルツです。

本日より、博物館のホームページの『Music』を更新し、このワルツをご紹介しています(トップページの右サイドメニューの一番下にMusicをご覧下さい。)

ファイル 224-3.gif ポリフォン104

演奏はポリフォン104(1890年代、ドイツ、ポリフォン社製作)。このディスク・オルゴールのディスクの直径は19 5/8インチ(約50cm)です。ディスクは1回転で1曲を演奏するのですが、わずか2分。どんなに長い曲でも、どんなに短い曲でも、この1回転に収まっています。短い曲は3回繰り返しなんていうのもありますが、長い曲は大変です。雰囲気を壊さず、良いところだけを2分間に集約します。100年前のディスク盤を作っていたアレンジャー達の努力の結晶です。

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原曲を知らないと面白みが半減してしまうので、YouTubeから見つけてきました。どうぞ、トップページの『Music』と聞き比べてお楽しみください。

ジプシー男爵(クラシック音楽作品名辞典 三省堂 より)
台本:M ヨーカイが自作の「サッフィ」によって書いた台本より
初演:1885年ウィーン
あらすじ:諸国をさすらった青年バリンカイは、土地の相続者としてウィーン郊外のジプシー部落に現れるが、ザッフィと恋仲になる。やがてスペインとの戦争で功績のあった彼は男爵位を授けられ、二人はめでたく結ばれる。

5月 演奏会コースの曲目

5月演奏会コースの曲目をご紹介いたします。

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演奏曲目

  • 自動ピアノ
機種名曲目作曲者名演奏者名
スタインウェイ・デュオ・アート愛の夢 No.3 変イ長調リストガンツ,ルドルフ
  • ディスク・オルゴール
機種名曲目作曲者名
ステラ・テーブルタイプヘ調のメロディルビンシュタイン
ミラ・エンプレス「トロヴァトーレ」より アンヴィルコーラスヴェルディ
ポリフォン Style105「カヴァレリア・ルスティカーナ」より 間奏曲マスカーニ
シンフォニオンNo.192W(アメリカ)「オベロン」より 人魚の合唱ワーグナー
シンフォニオン・エロイカラデツキー行進曲シュトラウスⅠ
ミラアヴェ・マリアグノー
レジーナフォン埴生の宿ビショップ
ポリフォン Style104「ジプシー男爵」より ワルツシュトラウスⅡ
ポリフォン オートチェンジャー(随時) 

「アヴェ・マリア」などの聴きなじみのある曲からオペラの曲まで、それぞれのオルゴールの魅力を存分にご堪能いただける選曲となっております。

上記のほか、シリンダー・オルゴール、ストリートオルガンの演奏、オートマタ(からくり人形)の実演もございます。

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シリンダー・オルゴール

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ストリート・オルガン

演奏会コースはご予約なしでお楽しみいただけます。13時か15時までにお越し下さいませ。

演奏時間 13:00~ 15:00~(所要時間約50分)
演奏会コースのご紹介へ  新しいウィンドウで開きます。

カリヨンの鐘

先週、中・高生向けの本を執筆中の方から「ビックベンの奏でる楽譜を送って」とのお問い合わせがありました。ビックベンとは、ロンドンのウェストミンスター宮殿(現在は英国の国会議事堂)に併設された時計台の鐘の愛称です。「ビックベン」とオルゴールと何の関係があるの?と思われるかもしれませんが、この鐘とオルゴールとは深い関係があります。
  

ファイル 223-1.gif Wikipediaより
 
 
時計塔につけられた時を告げる鐘は「カリヨン」と呼ばれていますが、このカリヨンがオルゴールの起源といわれています。
 
 
ファイル 223-2.gif Wikipediaより
 
 
ビックベンにも上の画像のような大きな鐘が付けられています。カリヨンなんて聞いたこともないと、おっしゃる方が多いのですが、ビックベンが奏でるメロディを聞けば、誰しもがうなずき、カリヨンを身近に感じてしまうでしょう。学校で「キーンコーンカーンコーン」と鳴るチャイムのメロディこそ、ビックベンのメロディなのです。この曲には「ウェストミンスターの鐘」という正式名称もあります。

音を聴きたい方、楽譜をご覧になりたい方はWikipediaのWestminster Quartersをご覧になってみてください。
Wikipedia Westminster Quarters」へ (日本語はこちら  日本語には楽譜もメロディもありません。)  新しいウィンドウで開きます。

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博物館の近所には東京カテドラル聖マリア大聖堂があって、ここにもカリヨンがあります。昔は毎週日曜日になると、カテドラルのカリヨンが鳴り、礼拝の時間を知らせていたのですが、最近は鳴っていないようです。問い合わせてみたところ「サビてしまい危険なので、15年程前から鳴らしていません。現在はCDで鳴らしています。」とのこと。ちょっと寂しい気がします。

ロシアのストリート・オルガン 続きのお話

4月16日のブログでご紹介したロシアのストリート・オルガンについての追記です。

ロシアのオデッサで作られたと書きましたが、正確にはオデッサはウクライナの都市で、オルガンに書かれていたのもロシア語ではなくウクライナ語だというご指摘をいただきました。
では、ロシアのオルガンではなく、ウクライナのオルガンというべきかと思いましたが、このオルガンが作られた100年前のウクライナはロシア帝国の支配下にあったので、『ロシアのオルガン』といっても間違いではないようです。

『Barrel Organ(Arthur W.J.G.Ord-Hume著)』にこのオルガンと同じような写真が掲載されていました。前面は似ていますが、側面と背面の象嵌は違う絵柄になっています。
 ファイル 222-1.gif前面  ファイル 222-2.gif背面  ファイル 222-3.gif側面

もう1台、ベラスケスのマルガリータによく似た絵が描かれたオルガンも載っていました。いずれも『ネチューダ』というメーカー名とその住所が書かれているので、同社のオルガンです。いろいろなデザインがあったようです。
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アンティーク・オルゴールや自動楽器についての情報にはまだ曖昧なことがあり、以前に書かれた本とは異なる新しい情報が出てくることがあります。博物館の収蔵品についても今後正しい情報がわかれば、その都度訂正していきたいと思います。

選曲中

5月18日(火)から始まる博物館コースの企画展は『リクエストできるディスク・オルゴール展』です。いつものように曲を決めず、ご見学のお客様からリクエストをいただいた曲を演奏するという企画展です。

オルゴールによっては1台につき100枚以上のディスクがあるため、その中から選ぶのは大変です。また、ディスクの状態が悪く演奏できないものもあるので、確認を兼ねて試聴し、それぞれのオルゴールに合った曲を1台につき5~10曲選んでいます。同じ曲を違う機種で聴くこともできますので、聴き比べをするものおもしろいです。
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博物館を楽しむグッズは博物館のロゴが入った手袋です。リクエストしたディスクをオルゴールにセットし、スイッチを入れて演奏できます。貴重なオルゴールに触れられる企画展です。100年の人々と同じようにディスク・オルゴールの演奏をお楽しみください。

選曲したのはのべ83曲です。確定したらHPにてご案内いたしますので、ご来館の前にぜひご覧ください。

オンラインショップの悩み・・・

オンラインショップの画像をリニューアルしています。

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昔撮った画像を撮り直し、画像サイズを大きくしたり、可能なところは細部をアップで撮ったり・・・。この一ヶ月で撮った写真は3000枚程となりました。

いざアップし一安心したところで、クレームが!ベビー用品など淡い色合いの商品の画像が薄すぎて見えないとのことです。

画像編集していたパソコンはソニーのVAIOです。下の画像でご覧いただくと、右がVAIO、左がDELLのパソコンで見た場合に、実際の商品に近い色合いとなります。(ちなみに、VAIOでも機種により、画像の見え方が異なります。)

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皆様のパソコンではどんな風に映っているのでしょうか?薄くて見えないのでは困りますので、現在は修正を行い、左側のコントラストで掲載されています。左側の画像が薄くて見えない方は、掲載の画像が実際の商品に近い色となります。左側の画像がよく見える方は、実際の商品は掲載画像より淡い色となります。何卒、ご了承下さいませ。

博物館のミュージアムショップで実物をご覧になれますので、ぜひ、ご見学にあわせて、ショップにお立ち寄りくださいませ。

オンラインショップへ  新しいウィンドウで開きます。

ロシアのストリート・オルガン

6階常設展示室の奥にストリート・オルガンがたくさん並んでいますが、その中にロシア製のオルガンがあります。普段の演奏では使っていないのですが、久しぶりに鳴らしてみました。
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このストリート・オルガンはロシアのオデッサにあったネチューダという工房で作られました。装飾が独特で、特にケースの象嵌が素晴らしいです。上面には珍しいお城のような建物、側面は竪琴を持った女性(女神のよう)、そして背面は6人の裸婦です。
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側面には6本のストップが付いていて、出し入れすることにより音色や音量が変わります。
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上蓋の裏にはチューンシートがあり、曲目などが書かれているのですが、文字がかすれている上にロシア語なのでどんな曲が入っているのかよくわかりませんでした。
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先月、ロシア語のわかるお客様がご来館され、チューンシートを訳していただきました。8曲の中にはロシアの曲の他、オペレッタ『ルクセンブルグ伯爵』やマーチ『旧友』も入っていました。
  
旧友なら知っていると演奏してみたのですが、オルガンの調子が良くないようで曲になっていませんでした。これは修理してもらわないと。(こうして工房スタッフの仕事は増えていきます。)
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ロシア語で『土曜日』というタイトルの曲はいかにもロシアの雰囲気が漂うメロディーで、ストリート・オルガンでこんな曲が聴けるとは思ってもいませんでした。いずれメンテナンスが終わったら皆様にも聴いていただきたいです。