オルゴールの小さな博物館
 
 


自動オルガン

 
 

 自動で演奏するオルガンもオルゴールと同じく、時計の時報を鳴らす装置に端を発しています。オルガンが組み込まれた時計は笛時計(フレーテンウーア Flotenuhr) と呼ばれ、バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどがこの笛時計のための作品を残しています。演奏部分が時計から独立し、オルガンを自動演奏する装置として登場したのは、シリンダー・オルゴールより古く、1750年頃といわれています。

 

笛時計(フレーテンウーア Flotenuhr)
ストリートオルガン


  最初に日本に渡った自動楽器は手廻しオルガンのようです。 江戸時代の末期にオランダより日本に渡来し、当時は「自鳴琴」あるいは、「ヲルゲル」と呼ばれていました。ヲルゲル=Orgeとはオランダ語でオルガンを意味します。 実は「オルゴール」という言葉は日本語で、このヲルゲルが起源となります。いつしか「ヲルゲル」がなまって「ヲルゴル」「オルゴール」となりました。

 



  自動オルガンはゼンマイや手廻しの動力により、フイゴで風を発生させ、その風をパイプやリードなどの発音体に送り込み演奏させるものです。自動演奏するためにはどの音を出すかを知らせる音楽信号(ソフト)が必要となります。初期のものには木の円筒(バレル)が用いられました。バレルには金属のピンが植えられています。バレルが回転するとピンがレバーを押し上げ、レバーに連動した空気弁が開き、パイプに空気が送り込まれる仕組みです。


バレル
 ブックを使用したオルガニート


  1850年頃に、バレルの代わりに孔を開けた厚紙がソフトに用いられるようになります。この方法により自動演奏のためのソフトの製造が容易になり、コストも安くなりました。19世紀の初めから20世紀にかけ、オルゴールの発展と期を同じくして、世界各地で多くの自動演奏オルガンが作られました 。

 


自動オルガンは3つのタイプに大別することができます。


 大型のオルガンはフェア・グラウンド・オルガン、ダンス・オルガンなどと呼ばれダンスやメリー・ゴーラウンド、サーカスなどのバック・グラウンド・ミュージック用として使われていました。大型のオルガンにはドラム、シンバル、カスタネット、トライアングルなどの打楽器や、シロフォンなど他の楽器が組み込まれ、オーケストラ演奏をするものも作られました。フランスのガビオリやリモネール、ベルギーのアルプロなどが有名です。その他ドイツ、オランダ、アメリカ、オーストリア、チェコスロバキアなどでも作られました。これら大型のオルガンの曲盤には経本状に折りたたんだカード・ボードに穿孔したものが使われているのが特徴です。空気や蒸気の力を利用して演奏を行います。

 
フェアグラウンド・オルガン
オルガン弾き


  中型のものはストリート・オルガンと呼ばれています。手押し車に乗せたり、ベルトで肩から掛けて戸外へ持ち出し営業用として使われていました。街路で使用していたためにこの名が付けられたのでしょう。犬や猿などの小動物を使うサーカスや、物売りや大道芸の客寄せとして使われていました。当時はストリート・オルガン弾きなる職業があり、それを生業として生活をしていた人達もいました。有名な工房としてはドイツのバチガルポ、フリッツ・ブレーデなどがあります。ストリート・オルガンにはバレルが多く使われています。

 


  小型のものは、家庭用として19世紀末から20世紀の初頭にかけて世界の各地で作られました。この小型のものはオルガニートと総称され、曲盤には穿孔したロール・ペーパーや、ボール紙などのディスクを使います。またパイプの替わりに安価なフリー・リード(ハーモニカの音源と同じ)を奏鳴用として利用したため、一般大衆に求めやすく大流行しました。ドイツのアリストン、モノパン、アモレッティ、フランスのティビーユ、アメリカのセレスティーナ、ジェム・ローラー、日本の紙腔琴などが有名です。
厚紙のディスクを使用したオルガニート
紙腔琴

 

Update Mar. 2009

 
     
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オルゴールの小さな博物館は2013年5月15日をもって閉館しました。

Our Museum has closed its doors on May 15, 2013.