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オートマタ紹介 5

9月11日より「妙技!オートマタ(からくり人形)展」が開催されます。
毎年、見所がいっぱいすぎて、何を見て良いのか分らなくなっちゃったというお客様も多いので、今年はオートマタ展に先駆けて、出演予定のオートマタを先に少しご紹介してみようと思います。

第5回は… ビスクドール

オートマタを知る上で、是非とも知っておきたいのはビスクドール。
ビスクドールの「ビスク」とは、お菓子のビスケットと同じく、フランス語の「二度焼き=ビスキュイ(biscuit)」が語源です。
まあ簡単にいってしまうと、陶器の顔を持つ人形のことです。
(あっ、でも全身陶器でできている陶器人形は、ビスクドールとはいわないような・・・。)
ビスクドールもオルゴールと時を同じく、19世紀に開花しました。
産業革命や万博などの影響を受け、パリを中心に発展し量産されるようになりました。
オートマタ工房の発展と同じく、当時開催された博覧会で金メダルを受賞したジュモー、ブリュなどの各人形工房は、アメリカやオーストラリアなどにも紹介されるようになり、世界中に輸出されるようになります。

19世紀後半に活躍し、今回の企画展に登場しているビスクドールの工房についてご紹介します。



ファイル 521-1.gif ジュモー
ビスクドール作家の代表格です。
コレクターの間では、「ジュモーにはじまり、ジュモーに終わる」といわれる程の人気工房。
父ピエールは他社からヘッドを仕入れ、衣装を着せて販売し、衣装の美しさで万博で入賞しました。
1877年に息子が後継者となり、ヘッドを自分の工房で製作するようになります。
そして様々な万博で数々の金メダルを受賞し、一流の工房へと発展していくのです。
1899年には閉鎖され、S.F.B.Jの傘下へ。
太く濃く描かれた眉大きく見開いき放射線状に描かれたまつげ、明るく健康的なほほの色などが特徴。



ファイル 521-2.gif ブリュ
ジュモーの最大のライバルです。
ビスクドールの王様といわれる風格を持ち、人を圧倒するほどの気品・気高さに満ち溢れた人形といわれています。
泣く、笑う、しゃべる、首が回る、自由にポーズを取るなど数々の特許をとり、新しい技術を駆使して世の注目を集めました。



ファイル 521-3.gif シモン&ハルビック
ドイツ人形メーカーです。
良質の細やかな肌を持つ愛らしい顔立ちのヘッドは人気を呼び、ドイツ以外にフランスの多くのメーカーに供給されました。



ファイル 521-4.gif ゴーチェ
フランス人形工房の草分け的な存在です。
数十社の人形やおもちゃのメーカーにヘッドやパーツを供給していた。
やや大人びた表情や大きな目が特徴。



ファイル 521-5.gif SFBJ
フランス人形・玩具製造協会(Societe Francaise de Fabrication de Bebes et Jouets)。
ドイツが低コストの人形を大量生産し始めた19世紀の後半、経営に行き詰まったジュモー、ブリュ、などのフランスの人形、玩具メーカー数十社が合併して作った会社です。
健康的な笑顔や泣き顔、ふくれっつらなど、子供の表情を写実的にとらえた作品が数多く作られました。


19世紀の半ばからビスクドールは流行し、「レ・ミゼラブル」や「小公女」にも登場し少女達の羨望の的となりました。

オートマタの動きと同様に、人形の眉や睫毛、口などの細部にも発見があります。